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Guest:江戸 
香港在住の海外SDガンダムファン。長きに渡るガン消しの歴史を真剣に後世に残そうという気概を持ったヘビーコレクターで、SD系玩具を扱うサイトSDコレクションを運営している。現在は「RPG伝説ヘポイ」の玩具を中心に紹介しているが、今後SDガンダム関連も取り扱う予定があるとか。元祖、食玩系のコレクション公開が待たれる。香港出身だが日本語が堪能で、日常会話はおろかコレクターの専門用語をバンバン使っても問題ない。年に数回来日しておられ、都内で開催されるTOY系イベントでの遭遇率は高め。
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香港より愛を込めて
海外でのSDガンダムとの出会いとは 

邪道:
企画へのご協力、誠にありがとうございます。 海外在住のコレクターさんにお話を伺える機会はあまりありませんので、色々とお話を聞かせてください。
江戸:
よろしくお願いします。
邪道:
出身はどちらでしょうか?
江戸:
香港です。
邪道:
日本語がご堪能ですが、幼い頃に日本にいたとかそういう事ですか?
江戸:
いえ。ある程度大人になってから、自ら学びました。
邪道:
何故日本語を覚えようと思ったんですが?
江戸:
幼い頃から日本の文化に触れていたのが主な理由ですね。 アニメ、漫画など沢山見たり、読んだりしていました。
邪道:
では、その頃にSDガンダムと出会ったんですね。
江戸:
そうですね。小さい頃からガシャポンが大好きだったんですよ。 小学生ぐらいの時から、香港にもガシャポン自販機があって、飲茶レストランなんかで普通に並んでいました。 親と一緒に飲茶食べに行って、親が誰かと話してる間、僕はずっとガシャポンにへばりついてましたよ(笑)
邪道:
日本のガシャポン好き少年と光景は変わらないですね(笑)
江戸:
でも日本のように同じシリーズが最初からずっとあるってわけじゃないんです。 やっぱり海賊版なんかもたくさんありましたし。 そんな中でもちゃんとした輸入業者さんもいて、日本の売れ残りを集めて仕入れてガシャポンに入れてあったりもしました。
邪道:
売れ残りを集めて入れるって事は、中身は…
江戸:
当然まったく分かりません(笑) だから回してガン消しが出てくると、僕にとっては超高級品でしたね。
邪道:
ガン消しだけが入っていることは無かったんですか?
江戸:
たまにありましたけど、それは後期の方でしたね。僕が中学生ぐらいになってから。 小さい時はいつも何でもアリの自販機を回してました。
邪道:
コレクションするには厳しい環境ですね。 日本では雑誌や広告などで、比較的簡単に情報を仕入れる事ができましたが、香港では難しかったんじゃないですか?
江戸:
小さい頃は殆ど情報は無かったですね。中学生の頃になると漫画なども読めるようになりました。機甲神とか読んでましたよ。

※機甲神
SDガンダム外伝の一つ。正式名称は「機甲神伝説」
邪道:
香港でも読めたんですね。
江戸:
大体は海賊版でしたけどね(苦笑)
邪道:
なるほど(笑)
江戸:
日本で刊行されていたボンボンやB-CLUBの内容を、そのまま掲載しちゃうような雑誌が普通に売られていました。

※B-CLUB
80〜90年代にかけてバンダイが発行していた模型情報誌。SD系ガシャポンの記事なども多く、販社発行の強みを生かした誌面構成で人気を博した。
邪道:
堂々としてますね。
江戸:
今はもう無いですけど、昔はやっぱりその辺が大雑把だったんでしょうね。 そのおかげで僕らは情報を仕入れる事ができたんですけど。
邪道:
子供にはどういう素性の物かは分からないですよね。
江戸:
今こうして日本に来るようになって、ボンボンなどの雑誌を見ると不思議な感覚になりますよ。 当時ボンボンを見たことが無いのに、中国語で同じ記事を読んだ記憶があるんですから(笑)
邪道:
不思議ですね(笑)
サーバインが欲しくて 

邪道:
ガシャポンはずっと集めていたんですか?
江戸:
いえ。さきほど言ったように集められるだけの環境が無くて、中学を卒業する頃にはほぼストップしていました。
邪道:
という事は何かキッカケがあって収集を再開したんですね。
江戸:
97年ぐらいだったと思うんですけど、スーパーロボット大戦をやっていたんですよ。 そこにダンバインとかレイズナーとか出てきてるのを見て、昔を思い出しました。

※スーパーロボット大戦
「機動戦士ガンダム」シリーズやマジンガーZなどの様々なロボットアニメのキャラが登場するシュミレーションRPGのゲームシリーズ。91年から現在に至るまで続く人気の高いシリーズとなっている。


※各作品の正式名称は以下。「聖戦士ダンバイン」「蒼き流星SPTレイズナー」。
邪道:
キッカケはダンバインでありレイズナーですか。
江戸:
最初はサーバインです。第三次か第四次にサーバインが隠しユニットで登場して、それがすごい強かったし、カッコよかったんですよ(笑) それでサーバインの玩具を探してみたんですけど、ほぼ無いに等しいじゃないですか。 行き着いたのがガシャポンでした。

※第三次、第四次
スーパーロボット大戦シリーズの中の一つ。「第三次スーパーロボット大戦」「第四次スーパーロボット大戦」


※サーバイン
「聖戦士ダンバイン」のOVA「New Story of Aura Battler DUNBINE」に登場する機体。
邪道:
サーバインもありますね。
江戸:
どうしてもサーバインが欲しくて、色々調べるうちに自分の知らないシリーズが出てる事を知って。って感じです。
邪道:
そこから徐々にハマったんですね。
江戸:
最初はガンダム以外を集めていたんですけど、やっぱりガンダムも好きだったんでガン消しも始めました。 最初はノーマルとMSVだけ集めましたね。
邪道:
でも集まってくると他のも欲しくなりますよね(笑)
江戸:
そうなんですよね。武者もやってG-ARMSもやって。子供の頃に外伝のゲームもやってたし、元祖も買ってたので、今度は外伝も始めて。ここまで来たらほぼ全部ですよ(笑)




SDガシャポン戦士 ダンバイン マーク2
290:サーバイン
海外におけるSDガンダムという土壌 

邪道:
勝手なイメージですが、香港では当時SDガンダムに触れる機会が無かったんじゃないかと思っていました。 でもこうしてお話を聞くと、当時から触れる機会はあったし、結構好きな人もいたんですね。
江戸:
大陸の方は分かりませんが、少なくとも香港では日本のゲームやアニメ、漫画は入ってきてました。だいたい1年遅れぐらいだったみたいですけど。

※大陸=中国本土
邪道:
今の中国における三国伝の人気を支えているのもそういった土壌があってこそなんでしょうね。
江戸:
三国伝は大陸でも人気があるみたいですね。
邪道:
大陸にもSDガンダムの土壌はあったんでしょうか?
江戸:
うーん 香港よりかは薄いと思います。
邪道:
では大陸に根付いた最初のSDガンダムは三国伝という事に。
江戸:
そうかもしれないですね。三国伝は三国志という自国の歴史がモチーフだから、きっと受け入れやすかったでしょう。
邪道:
香港での三国伝の反応はどうですか?
江戸:
そもそもBB戦士が人気ありますので、その流れに沿って三国伝も人気です。 香港では当時からBB戦士や元祖が流通してたんですよ。自分の周りでも好きな人はたくさんいました。
邪道:
もしやそれも…
江戸:
いえ。正規品です(笑) 当時から香港には日本の大手デパートがあって、玩具売場には日本の玩具が並んでいました。 あとは町の模型屋でも日本から仕入れて売ってましたね。
邪道:
香港ドルの値札が貼ってある元祖を見たことがあります。製品は日本と同じだったので、不思議に思っていたんですが、そういう事だったんですね。
江戸:
正規に販売されていた物を輸入しているので、日本とまったく同じ物ですね。
邪道:
実際に海外のSDガンダムファンというのは、どんな状況なんですか?
江戸:
香港に限って言えば、SDガンダム好きは今でも沢山います。ファンサイトなどもあって、そこに人が集まっていますよ。
邪道:
どんなサイトですか?
江戸:
無國界SDガンダムというサイトが有名ですね。2001年からある古いサイトです。
邪道:
2001年からだともう8年ですか。すごいですね。
江戸:
BB戦士を主に扱っていて、限定版などのギャラリーもあるんです。 他にも雑誌、漫画、玩具なども画像をアップしていて、SDガンダムへの愛を感じます。
邪道:
そういうサイトがあるのは知らなかったですね。今度調べてみます。
BB戦士や元祖などの話は出てきますが、ガシャポンがあまり出てこないですね。
江戸:
ガシャポンの中でもSDガンダムフルカラーはファンがいるんですけど、ガン消しはちょっと…
邪道:
あまり人気が無いですか。
江戸:
昔から好きで、自分で彩色などしていた人や、そういった作品を公開している人はいるんですが、日本のようなヘビーコレクターというのは正直少ないです。
邪道:
SDガンダムファンはいるのに何故ガン消しは根付かないんでしょう。
江戸:
文化というか風土的なモノだと思うんですけど、小さい物をあまり好まない傾向にありますね。
邪道:
なるほど。大陸的な考え方と言えるかもしれませんね。
江戸:
観念的に「小さい物には価値が無い」と思っているように感じます。
邪道:
小さい物よりは大きい物が欲しいと。
江戸:
大きければ大きいほどいい。それプラス色も多い方がいい。 フルカラーより大きいBB戦士。BB戦士より大きくて色も付いてる元祖。
邪道:
その考え方だとフルカラーサイズで無彩色のガン消しは…
江戸:
当然好まれない(笑)
邪道:
そうなりますね(苦笑)
江戸:
僕は少数派ではありますけど、ガン消しは素晴らしいと思っています。
邪道:
どういった点ですか?
江戸:
あの大きさであれだけの造型を実現しているのはいいですよね。あとラインナップの多さも魅力ですよね。
邪道:
無彩色のガン消しサイズだからこそですね。
江戸:
BB戦士や元祖であのラインナップは無理ですよ(笑) これほど長く続いたガシャポンのシリーズって他に無いと思うんですよ。
邪道:
確かに長いですね。バンダイ製のガシャポンとしては間違いなくトップクラスです。
江戸:
本弾からSDRまで入れれば丸10年近くに渡って、シリーズが展開されていたんですよね。 これだけのシリーズはやっぱり後世に残したいなって思ってます。
邪道:
同感です。サイトなり何なりでこういうものがあったっていうのを残したい。
江戸:
サイトもそうですけど、完璧な本とか作れたらいいなって。
邪道:
私もそう思いますよ。今なら作ろうと思えば相当良い物ができるはずですよ。
江戸:
コレクターが何人か集まればガシャポン戦士は限定も含めて全部集まりますよ。
邪道:
下手にバンダイさんが主導で作るより、もっとディープな本が作れそうですよね(笑)
江戸:
確かに(笑)
邪道:
話を戻しますが、香港では元祖が本当に人気がありますね。
江戸:
先ほども言ったような理由で、香港で一番人気のあるSDガンダムトイと言ってもいいと思います。
邪道:
数年前から香港の方が、日本で元祖を買っているのをよく見かけるようになりました。
江戸:
今でこそ日本と香港の価格は同じぐらいになってきましたが、それは日本の価格が高くなったんですよ。
邪道:
ここ1年ぐらいはやや落ち着いた感はありますが、確かにずっと右肩上がりで高騰していましたね。
江戸:
香港では4〜5年前から今の日本と同じぐらいの価格でした。だから日本で元祖を買うメリットがあったんです。
邪道:
日本で仕入れるって感じですね。
江戸:
個人バイヤーでも買い付けに来てる人は多かったと思いますよ。
邪道:
外国まで買い付けに行くには、それなりのメリットが無いと難しいですよね。 香港での購買層はどういった方々ですか?
江戸:
裕福な人が多いですね。そもそも日本の玩具をコレクションしている人は、殆どがそれなりのお金持ちです。
邪道:
個人的なイメージですが、香港で「お金持ち」というとすごいレベルな気がします。
江戸:
同じ中国でも大陸に比べると、香港の所謂「お金持ち」というのはレベルが違いますね。
邪道:
やっぱりそうですよね。そういった趣味は時間と資金に余裕がないとできませんから。
江戸:
超合金がいい例ですね。
邪道:
香港の方で超合金コレクターは非常に多いですよね。
江戸:
そういったコレクターの方がある程度収集しつくして、SDガンダムの方に流れてきたっていう側面もありそうです。
邪道:
超合金を本格的にコレクションしてる方から見れば、元祖のプレミアムなんて大したモノじゃない。
江戸:
そういう風に捉えているのかもしれません。
邪道:
それでは一般的なコレクターでは敵わないですね(苦笑)



左:BB戦士 三国伝
321:馬超ブルーディスティニー

右:元祖SDガンダム
90:フェニックスランダー
復刻ガン消しについて 

邪道:
今年ついにガン消しが復刻になりました。買いましたか?
江戸:
ちょうど日本に来たので、秋葉原の先行発売ですぐに買いました!
邪道:
出来についてはいかがですか?
江戸:
成型色の発色が良すぎるのと、モールドが一部潰れてしまっているのは残念ですね。 でも今後そういった問題点が改善される事を期待しています。
邪道:
他に復刻に望む事はありますか?
江戸:
新規造型ですね。
邪道:
皆さんそう言われます。もちろん私も同感ですが。
具体的にはどの辺を希望しますか?
江戸:
「08小隊」とかいいですよね。バックパックを外せるようにして、武器セットでウェポンラックとか180mmキャノンなんかが出れば最高です。

※08小隊
ガンダムのサイドストーリーOVA「機動戦士ガンダム第08MS小隊」の略称。数多あるサイドストーリーの中でも認知度は高い。
邪道:
そういう遊び心が欲しいですよね。
江戸:
僕はガンダムの本流が好きなんです。武者とか外伝じゃなくて、宇宙世紀のサイドストーリーなんかを補完して欲しいです。 ホワイトディンゴ隊とかブルーディスティニーとか。
邪道:
ホワイトディンゴ隊は無彩色だと難しそうですね(笑)

※ホワイトディンゴ隊
ドリームキャストで発売された「機動戦士ガンダム0079外伝 コロニーの落ちた地で…」に登場する部隊。 硬派なゲームシステムと世界観が受け、今でも根強い人気がある。


※ブルーディスティニー
セガサターンで発売された「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」に登場する機体。 ガンダムファンの認知度も高く、後に発売されたガンダム系ゲームに登場する事もある。
江戸:
Ξ(クスィー)ガンダムやユニコーンも見てみたい。
邪道:
ユニコーンは今が旬ですからね。
江戸:
何らかの形でSDの立体物がリリースされるとは思いますけど、ここは一つ復刻ガン消しでお願いしたいですね。

※Ξ(クスィー)ガンダム
ガンダムの父・富野由悠季氏による小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」に登場する機体。


※ユニコーンガンダム
宇宙世紀を引き継ぐ正統な続編として2007年初頭から雑誌「ガンダムA」で連載開始、今も連載中。2009年冬にアニメ化される。
邪道:
こうして希望などについて語れるのも復刻されたからですね。
江戸:
本当に今の状況は嬉しいです。海外でも宣伝のしがいがありますよ。
邪道:
海外での広報活動は我々には出来ません。よろしくお願いします!
楽しいお話をありがとうございました!
 

2009.05.31