TOPCOLLECTOR>Case07-2
Guest:宮越 洋平 
まんだらけ中野店:ミクロ館館長であり、まんだらけ刊行の目録冊子「コンプREX」の編集長も務めている。全国の消しゴムコレクターにはお馴染みと言っても過言では無い中野ミクロ館。その館長を務める彼の知識は膨大で、消しゴムのみならず80年代〜90年代玩具全般に造詣が深い。各店舗の店員からも信頼が厚く、某店舗では「目指せ宮越」との意見を聞いた事もあるほど。これまで数多くの逸品を世に送り出してきた彼は、未知なる造型との新たな出会いを求め、今日もミクロ館で汗を流している。
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館長は語る =後編= =前編=
王道の向こう側 

邪道:
キン消し、ガン消しの他に動くジャンルってどの辺ですか?
宮越:
最近はキン消しやガン消しをある程度集め終わったコレクターさんが、他のジャンルに参入してきているようです。
邪道:
具体的にはどの辺でしょう。
宮越:
怪奇マリオとかファミコンチョコあたりが熱いですね。最新のところで言うとあさりちゃんの消しゴムなんかも人気があります。

※怪奇マリオ
80年代にどこかで製造され、どこかが販売したいわゆるパチ物。ホラー色を宿したマリオっぽい造型が人気。


※ファミコンチョコ
ロッテから発売された食玩。上箱がオマケ、下箱にお菓子というある年代には馴染みが深いタイプの商品だった。


※あさりちゃん
1978年から今も連載が続く人気漫画。小学館のてんとう虫コミックの中で最多となる89巻(2009年5月現在)まで発行されている。
邪道:
先日のゴムの日であさりちゃんはたくさん出てましたね。
宮越:
あれほど揃ったのは初めてでしたけど、全部売れてしまいました。
邪道:
実は僕も一つ買いました(笑)
宮越:
ありがとうございます(笑)
邪道:
消しゴム以外の食玩なんかも最近よく動いているように見えます。
宮越:
そうですね。取り扱いが増える事で動きも活発になってきました。
邪道:
やはり80年代後半から90年代初頭ぐらいの食玩が中心ですか?
宮越:
一番物が動くのはその辺りです。
邪道:
入荷が結構あるものなんですか?
宮越:
最初はちょろちょろ出してる感じだったんですけど、それを見たコレクターさんが買取に持ってきてくれたりして、それをまた出して、また売れてっていう感じで徐々に盛り上がっています。 今ではある程度品揃えも確保できているので、常時店頭に出せてます。
邪道:
僕も食玩好きなのでよく買うんですけど、確かに最近品揃えがいいですね。
宮越:
またコレクターさんはいいタイミングで持ってきてくれるんですよ。今評価してるジャンルをベストタイミングで買取に出してくれる。そんな時は「おぉ!」って思いますよね。
邪道:
今評価している、押している分野ってありますか?
宮越:
王道は常時押してるんですが、やはりその他の未発達分野はプッシュしたいです。
邪道:
例えばどんなとこでしょう?
宮越:
スパンクの消しゴムなんていいですよね。癒し系な感じがして。

※おはよう!スパンク
80年代初頭に講談社の「なかよし」にて連載され、人気を博した漫画。後にアニメ化された。2009年5月現在DVD化はされていない。
邪道:
スパンクとはまたコアなところですね。消しゴムがあった事実を知らない(笑)
宮越:
あさりちゃんとか、この前出した日本昔話っぽい消しゴムとか。 やはり皆さんの知らないところを提唱してきたいですね。
邪道:
最近のトピックスではジャッキー・チェンが前面に出てきてますよね。
宮越:
アレは完全な僕の趣味です(笑)
邪道:
やっぱり趣味だったんですね(笑)
宮越:
でもこれまでまんだらけで扱っていなかった物なので、これからはそういったところも押さえて行こうと思ってるんです。 トピックスは結構個人的に好きな物を上げる傾向にありますね。もちろん良い物もあげますけど、基本的にはピーンと来たヤツをあげるようにしています。
邪道:
あの一本ネジが外れた感のあるトピックス大好きです(笑)
宮越:
ネジが外れてるって(笑)
コレクター宮越? 

邪道:
一度お聞きしたかったんですが、宮越さん自身はコレクターなんですか?
宮越:
おもちゃ大好きですよ!
邪道:
昔から結構買ってるんですか?
宮越:
まんだらけ入る前から買ってますよ。そもそもおもちゃが好きで入社したぐらいなんで。
邪道:
やっぱりそうなんですね。
宮越:
最初はアメトイを買ってて、少し経ってから日本の玩具の方がやっぱりカッコイイなと思うようになりました。 それからは自分の見てたアニメのおもちゃなんかを買って、もちろん消しゴムや食玩のオマケなんかも好きですよ。 でもこのシリーズをコンプしよう!とかそういった感じじゃなくて、自分の好きな物をいっぱい買うっていうスタンスです。 だから自分の部屋とかすごいですよ。一個一個がすごいっていうんじゃなくて、完全なカオスです(笑)

※アメトイ
アメリカ発の玩具の総称。特にブリスター入りのフィギュアを指す場合もある。スターウォーズやスポーンのフィギュアなどは日本でも一時期ムーブメントがあった。
邪道:
量がたくさんあってすごいっていう感じですか。
宮越:
たくさんのおもちゃに囲まれる環境っていうのが好きなんですよね。夢でもありますし。 しかし、ミクロ館にいらっしゃるコアなお客様の領域まで到達するには、まだまだ遠いですね。
邪道:
これ聞いてもいいか迷うところですが、自社で買い物ってするんですか?
宮越:
する事もありますよ。もちろん店頭に出してからですけどね。 でも自社で買う場合には取り決めがあるんですよ。
邪道:
ルールみたいなものですね。
宮越:
自社で買う場合には数日店頭に出してからしか買えないんですよ。 自分が担当している店舗でも、他店舗でも基本は一緒です。お客様が最優先ですから。 やはり良い一品は早々に旅立ってしまうので、その時は涙を飲んで諦めるんですよ(笑)
衝撃の出会い 必然の別れ 

邪道:
これまで数多の買取をしてきたと思いますが、印象に残った物はありますか?
宮越:
やはり一番驚いたのはシルバーリキですね。

※シルバーリキ
未だに正体が判然としない謎のベールに包まれた伝説のキン消し。
過去一度だけミクロ館に光臨した事がある。
邪道:
あれは僕も驚きました。まさか出てくるとは思っていなかったので。
宮越:
正直しびれましたよ。時代が動いたなって感じで。
邪道:
総数が決まっていて、限定品などがほぼ無いキン消しにとって、あの辺は最高峰ですよね。
宮越:
何度も入ってくる物じゃないので、出すのが惜しいぐらいでした(笑)
邪道:
ガン消しではどうですか?
宮越:
やっぱり風林火山編の彩色大農丸ですね。箱付きで入荷したんですよ。

※彩色大農丸
SDガンダムマーク30のアンケートで抽選1000名にプレゼントされた物。箱付きは特に稀少でコレクター垂涎の逸品となっている。
邪道:
財布と相談した上で断念したのでよく覚えます(笑)
宮越:
これも中々入荷無いんですよね。やっぱり抽選プレゼント系は総じて厳しいです。
邪道:
元々数が無いですし、現存数の問題もありますから。
宮越:
でもガン消しはまだすごいのが残ってますよ。
邪道:
含みのある言い方ですね… どんなものですか?
宮越:
それは後のお楽しみにしましょう(笑)
邪道:
分かりました(笑) キン消し、ガン消し以外での買取ってどうですか?
宮越:
そこそこ結構入ってきますけど、マイナー物は絶対数がやはり少ないです。 怪奇マリオとかバイキン軍団とか、最近ではバンドックとか。

※バイキン軍団
80年代に今野産業株式会社から発売された「バイキン軍団大行進」シリーズ。前期、中期、後期に分けられ各14種類で合計42種類存在する。
邪道:
バンドックは面白い造型ですよね。
宮越:
今野産業さんのちゃんとした製品なんですよね。 もう在庫がほぼ無い状態です。
邪道:
数がたくさん出てきても捌ききれない、でも少なすぎてもパンチ力に欠ける。 難しいところですね。
宮越:
誰もが欲しがる物では無いですからね。でもこういった細かい所があってこそ、周囲が盛り上がるモノだと思っています。

爆列神我バンドック
これまでほぼ存在を知られていなかったバンドックだが、ミクロ館のトピックスで扱った事から一部で人気が過熱。ミクロ館の影響力が計り知れる。
画像左からデモグイター、デモコーダー、リズムというキャラ。



コンプREXとミクロ館のこれから 

邪道:
買取価格というのはどうやって決めているんですか?
宮越:
やはり人気が一番です。求めている人が多ければ多いほど評価も高くなります。どれほど珍しくても求めている人がいなければ売れないわけですから。 その中でも差別化する要因っていうのはその時々の相場観と遭遇率ですね。やはり入ってくる数が少なければ、必然的に買取も高くなります。
邪道:
新しいジャンルになると相場はあって無いような物だと思います。そういった場合は?
宮越:
造型を見ますね。過去に出てきた物と比べて出来はどうなのか。最終的には僕の判断になるので、成功もあったり失敗もあったりですよ(笑)
邪道:
最終的には経験に頼らざるを得ない。
宮越:
日々勉強だと思ってます。そういう意味では自分では限界があるので、店舗などでするお客様との会話というのはすごく重要ですよ。今求めている物なんかも見えてきますから。
邪道:
お客様と共に。なんだかスローガン的ですね(笑)
宮越:
それがあってこそですからね!
邪道:
宮越さんは今や消しゴム業界においてビッグネームになっていると思います。ミクロ館・館長、コンプREX編集長など肩書きが色々ついてきましたが、何か気をつけていることなどありますか?
宮越:
ビッグネームですか(笑) ミクロ館にたくさんのお客様が来てくださるようになってきたので、出来る限りトピックスを毎日上げたり、定期的なイベントの開催というのは心掛けています。 あとは目の肥えたお客様が多いので、あまり下手な物を出せないというのはありますね。 「今頃コレをこの値段かよ!」って言われるのは良くないですから(笑)
邪道:
トピックスの更新は苦労されてるいるんじゃないですか?
宮越:
大体帰りの電車の中とかで考えてます(笑) やっぱり毎日となると結構大変なんですよ。 あと刊行誌の発刊と重なったりするとしんどいです。
邪道:
刊行誌というと宮越さんが編集長のコンプREXですね。これはどういった経緯で発刊に至ったんですか?
宮越:
コンプREXの前身でmandarake trashという刊行誌があります。まんだらけオークションの目録本なのですが、まずここで塩ビ物とやってみないかって言われて、ネクロスとかバトラーの聖剣なんかを特集したんです。

※バトラーの聖剣
80年代後半に不二家が発売したオマケ付き食玩。造型が秀逸で一部にコレクターもいるが、ネット上で紹介される事は少ない。バトラーの聖剣と書いて「ばとらーのつるぎ」と読む。
邪道:
僕も持ってます。アレは良い本ですよね。
宮越:
そのtrashが結構好評だったので、次の本をっていう流れになったんです。その時ちょうど秋葉原にコンプレックスという店舗がオープンになったので、それに合わせてコンプREXという名前になりました。
邪道:
内容についてはどうやって決めているんですか?
宮越:
コンプREXも基本は目録本なので、まずは在庫が不可欠です。その時々で紹介に耐えうる物量がある事が条件ですね。 コンプREX01では募集超人、未発表消し。02ではより資料性の高いファミコンチョコなど。03ではドラゴンボール全集。 それぞれ読んで楽しめる本を目標にして作っています。
邪道:
今後の展開はどうですか?個人的にはそろそろガンダムか?と思っていますが。
宮越:
SDガンダムは数が多すぎるので網羅するのは難しいかもですね。でも絶対に避けては通れないので、いつか必ずやります。
邪道:
首を長くして待ってます。
宮越:
一応次のコンプREXは80年代ジャンプ特集の予定です。北斗の拳や聖闘士星矢を特集する予定なので、そちらも是非!



これまでに発売されたミクロ館の関わっている刊行誌。
trashはすでに売り切れで店頭での購入はできない。




邪道:
最後にミクロ館・館長として何か一言頂ければ。
宮越:
お客様の心に響くような、より刺激的な造型を探すのをモットーにしています。 既存のお客様、コレクターさんのみならず一般のお客様をも誘い込めるような店舗作りにしていけたらと思っています。 あとは80年代、90年代にこだわり続けるのではなく、世代にあった、時代に則した商品展開をしていくつもりです。 5年、10年後には90年代後半に流行った物などをフューチャーして、少し先取り、時々振り返り、そうしてミクロ館も成長していけたらなと。 それと共に古いコレクターさんも新しいコレクターさんも成長していけたら幸いです。
邪道:
素晴らしいお言葉を賜りましたので、インタビューはここで終了とさせて頂きます。 長い時間を割いて頂いて本当にありがとうございました!
宮越:
こちらこそありがとうございました。
インタビュー後に姿を現したガン消しのリーサルウェポン 

宮越:
じゃあ最後に見ますか?
邪道:
あっ!さっき言ってたヤツですか?
宮越:
2種類あるんですよ。まずはこちらから。
邪道:
これは… グミメイトですね。


グミメイト GARMS
グミメイトGARMSのグミ部分。同梱のミニプラは稀に見かけるが、グミ部分が画像のような状態で5種揃っている事はかなり珍しい。珍品と呼ぶに相応しい品。




宮越:
すごい!というより面白くないですか? おそらくこういった形で入荷する事は二度と無いと思うんですよ(笑)
邪道:
これでたぶん全種ですね。確かに中々出てくる物じゃなさそうですね(笑) これは欲しいなぁ。
宮越:
そのうち出しますので、その際には是非。
邪道:
念入りに財布と相談します。
宮越:
もう一つはこれです。
邪道:
なんですかコレ! 初めて見ました!

特大彩色四代目大将軍(白)
武者大将軍スペシャルのプレゼント品。ネット上で確たる情報が出た形跡も無く、画像付きで紹介できるのは今回が初では無いだろうか?
これが武者大将軍SPの抽プレである事は証拠と共に確認済み。販売予定は今のところ無し。


宮越:
一度だけ在庫として情報を流した事があったんですけど、その時の反響が凄かった。 僕自身そんなに大変な物だと知らなかったので、話を聞いて自分でも驚いているんですよ。
邪道:
武者大将軍スペシャルのプレゼント品なんですね。これはすごいですよ!
インタビューに載せてもいいですか?
宮越:
まだ販売予定が無いので、今回はお見せするだけという事で…
邪道:
これは是非載せましょう! 話題沸騰ですよ(笑)
宮越:
うーん… これもちょっと考えましょう(笑)

※インタビュアーのゴリ押しにより無事承諾を得る。
邪道:
良い目の保養になりました! いつの日か放出されるわけですよね?
宮越:
そうですね。いつになるかは分かりませんけど。
邪道:
楽しみにしていますね。最後の最後でまたテンションあがりました。 ありがとうございました!

 

Special Thanks 撮影協力:SO氏

2009.05.09