TOPCOLLECTOR>Case07-1
Guest:宮越 洋平 
まんだらけ中野店:ミクロ館館長であり、まんだらけ刊行の目録冊子「コンプREX」の編集長も務めている。全国の消しゴムコレクターにはお馴染みと言っても過言では無い中野ミクロ館。その館長を務める彼の知識は膨大で、消しゴムのみならず80年代〜90年代玩具全般に造詣が深い。各店舗の店員からも信頼が厚く、某店舗では「目指せ宮越」との意見を聞いた事もあるほど。これまで数多くの逸品を世に送り出してきた彼は、未知なる造型との新たな出会いを求め、今日もミクロ館で汗を流している。
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館長は語る =前編= =後編=
宮越氏とミクロ館の遍歴 

邪道:
まずは今回は企画へのご協力ありがとうございます。
復刻支援サイトを立ち上げる中で、コレクターさんに色々と話を聞こうという企画が持ち上がりました。 しかしコレクターさんだけに限定するより、もっと幅を広げてインタビューした方が面白いんじゃないか。 そういった視点から、まんだらけミクロ館・館長の宮越氏にお話を伺いにまいりました。 インタビューの場も設けて頂いて誠にありがとうございます。
宮越:
いえいえ。僕なんかでよければ。
邪道:
いつもは客と店員さんとして顔を合わせているので、少し気持悪いですね(笑)
宮越:
まさかこういった形でお話をするとは思いませんでした(笑)


当日のインタビュー風景。
正面を向いているのが宮越氏。

インタビュアーと顔馴染みとあって
インタビューは終始和やかに進んだ。
奥のマネキンは常備品との事。



邪道:
まずは宮越さん自身についてお伺いしたのですが、まんだらけに入社されてどのくらいになりますか?
宮越:
ちょうど5年ぐらいですね。
邪道:
意外と短いですね。もっと昔からいるような気がしていました。
宮越:
いえ。そんなもんですよ。
邪道:
まんだらけに入った時のご担当はなんだったんですか?
宮越:
入ってすぐは普通にトイ担当でやっていたんですが、4〜5ヶ月でミクロ館に配属されました。
邪道:
それからはずっとミクロ館ですか?
宮越:
そうなります。元々はキン肉マンが好きでキン消しも好き、あとは80年代から90年代後半までのおもちゃが好きで。だからミクロ館っていう希望は出してたんですよ。それが通っての配属になりました。
邪道:
希望通りの配属だったんですね。ミクロ館では最初どういったポジションでしたか?
宮越:
まずは「キン消しを極めていけ!」っという指令を受けました。当時はマニアっていう感じでも無くて、ただキン消しが好きなだけだったので、勉強する事から始めました。
邪道:
古物売買というのは経験がモノを言うところがあると思うのですが、勉強から始めたとなると大変だったんじゃないですか?
宮越:
大変でしたよ(笑) キン消しだけを勉強するのにも相当時間がかかりましたし、その頃はキン消しやガン消しなどの王道といえるジャンル以外は全然やってなかったんで、分からないのは全部まとめ袋行きでしたね。 今考えると入ったばかりの頃のまとめ袋は結構良い物が入ってたと思いますよ(笑)
邪道:
確かにそうですね。私も何度も買わせて頂きました(笑)

※まとめ袋
その名の通り雑多な消しゴムをまとめ売りしている袋。「ジャンル問わず」「同ジャンルのみ」などのまとめ袋があり、しばしば珍しい消しゴムが混じることがある。
邪道:
ミクロ館って当時2階にありましたよね?
宮越:
今は4階ですけど、その前は2階でした。

※まんだらけ中野店は中野ブロードウェイというビルの中にある。
地下1階から4階までが商用店舗スペースで、まんだらけは2階〜4階に多数の店舗を展開している。
邪道:
ミクロ館はその名の通り「小さい物」を中心に取り扱っていると思うのですが、2階の頃はどういった商品を扱っていましたか?
宮越:
キーホルダーとぬいぐるみ、あとは小さなプライズなんかが中心だったんです。そこに当時担当だった方が消しゴムとか80年代後半の物を入れ始めて、今のスタンスに至るっていう感じですね。 だから僕が入った時に流れは出来上がってました。あとは煮詰める段階で。
邪道:
消しゴムが締める割合はどの程度だったでしょう?
宮越:
まずはキン肉マン、ガンダム、ドラゴンボール辺りのキャラが強いところから初めて、あとは食玩系からネクロスなんかもやってましたけど、ミクロ館全体で言えば四分の一ぐらいでしたね。もっと少なかったかもしれない。

※ネクロスの要塞
80年代後半にロッテが発売したオマケ付き食玩。RPG風のファンタジックな独自の世界観を打ち出し、8弾までリリースされた。食玩系消しゴムの中でも根強い人気のあるシリーズ。
邪道:
その後4階に店舗が移転するわけですが、4階になってからの消しゴムの充実ぶりは顕著だと思います。これは大方針があったりしたんですか?
宮越:
会社的な方針とか明確な意図があったわけじゃないんです。移転した当初は2階と同じような感じで展開していたんですよ。 でも4階は2階に比べて人通りが少ない傾向にあって、お客様と話せる機会がかなり増えました。 コミュニケーションを取る中で知識や情報を得るようになり、自分が取扱えるジャンルが増え、実際に店舗で展開するジャンルも徐々に増えていったんです。 それで今では消しゴム中心と言っても過言では無いミクロ館が出来上がりました。
邪道:
お客様と共に育った。そんな感じですね。
宮越:
まさにその通りです。


ミクロ館内部
満面の笑みで商品を整理する宮越氏の周りには、所狭しと商品が並んでいる。
カオスっぷりがハンパでは無い。






ミクロ館外観
ショーケースに整然と並んだ商品群は見る者を惹き付ける。
店舗は対面式の2スペースからなり、こちらは上の画像とは逆のスペース。





消しゴムが並ぶショーケースの一部。
店内に複数あるショーケースは、消しゴム、食玩、プラトイ、プライズなど大まかなジャンルに分けてられている。


消しゴムイベント その名も「ゴムの日」 

邪道:
ミクロ館=消しゴムという図式を決定付けたのはイベントの開催だと思います。
宮越:
ゴムの日ですよね。
邪道:
その名の通りですよね(笑) これまでのイベントの変遷を教えて頂けますか?
宮越:
最初は「肉の日」と銘打って毎月29日に小さなイベントをやっていました。1年ぐらい続けたと思います。 その後あるコレクターさんから「5月6日でゴムの日っていうのもいいんじゃない?」と言われたのが、ゴムの日開催のキッカケになります。即実行に移りましたよ(笑) でも当初はそれほど多くのお客様もいませんでした。それこそ第1回は10〜20人ぐらいだったんじゃないかな? 個数制限や抽選などの取り決めも無くて、オープンすると並んでいた皆さんが同時に「ショーケースお願いします!」って。 これはすごいなと肌で感じた瞬間でしたね。

※現在のゴムの日の販売方法は、販売順を抽選で決める方式になっている。
先着順だと周辺に住んでいる方が有利で、遠方が不利になるため、購入チャンスの平等化を目指して導入された。
邪道:
最初はマイナー消しとか殆ど無かったですよね。
宮越:
まだまだ本格的にやり始めたばかりだったので、王道が殆どでしたね。他のマイナー消しはやっぱりまとめ袋行き(笑) それでも少しずつ扱う幅が広がって来て、買い取りも入るようになったんです。あとはトピックスでの紹介に力を入れたりして、今のイベントスタイルにたどり着きました。

※トピックス
まんだらけサイトにて毎日更新されている各店舗の商品情報。ミクロ館のトピックスはほぼ毎日更新されており、宮越氏独特のテキストは読む者をアナザーワールドへ誘う。
邪道:
イベント開催にあたって注意している点ってありますか?
宮越:
今では様々なジャンルのコレクターさんが来てくださっているので、王道、 マイナーの配分に気をつけています。良く動く商品をバランスよく出すのが重要だろうと。 あとは新たなジャンルの開拓ですね。これまで扱っていなかったジャンルだったり、自分が初めて遭遇した物などを出すようにしています。 それがコレクターさんの新たな道しるべになってくれたらと思っています。
邪道:
それはありますよ。自分もイベントで出た物から収集を始めた経験がありますから。
宮越:
そう言って頂けると嬉しいですね。
邪道:
今回のゴムの日はすごかったですね。結局何人並んだんですか?

※2009年5月6日のゴムの日。
宮越:
160人前後だったと思います。過去最高ですね。
邪道:
年々増えている感じがしますね。
宮越:
回を追う毎に増えてると思います。でもそろそろキャパがいっぱいで…
邪道:
今回はパンク寸前でしたよね。
宮越:
数日前から列さばきのシミュレーションをやっていたので何とか対応できましたけど、あれ以上だとちょっと厳しいかもです。 開催方法なども含めて、一度根本的に見直す時期なのかも知れません。
邪道:
中止になったりしたら悲しむコレクターがたくさんいると思いますので、是非続けて欲しいです!
宮越:
もちろんそのつもりですよ!
店舗から見たコレクターと消しゴムと 

邪道:
これまで数多くのコレクターと接してこられたと思いますが、市場が大きくなる中で何か変化などありましたか?
宮越:
元々コアなコレクターさんに変化はあまりないように思います。昔からイベントに参加して頂けていたり、日々店舗の方に来て頂ける方なんかは、ご自身のスタンスを変えていないように思います。 最も変わった事と言えば、やはりお客様の数自体が増えたことですね。
邪道:
年齢層というのはどんな感じでしょう?イメージとしては20〜30歳代ぐらいかと思いますが。
宮越:
一番多いのは25〜35歳ぐらいですね。でも最近は20代前半と思しき若い方も多いですよ。
邪道:
若いですね(笑)
宮越:
そういった方は消しゴムで言えばロックマンなどが多いです。他ではメダロットなんかもですね。
邪道:
90年代の商品ですね。
宮越:
徐々に90年代以降にも波が来てる感じです。そういった世代の変化というか、新たな参入というのは日々感じます。 あと当初はトピックスでどんな物を紹介してもあまり反響が無かったんですが、最近では良い物、珍しい物に関しては問い合わせの数が増えました。この辺も新たな世代と関係があるかもしれませんね。
邪道:
30代も半ばになれば、お子さんをお持ちの方もいらっしゃいますよね。
宮越:
親子連れで訪れて頂く事もありますよ。 最近ではキン肉マンのDVDBOXにキン消し全種が付属したり、キン消しの復刻がガチャで販売されたり、昔集めていた方がもう一度消しゴムに触れる機会が多くなったんだと思います。 お子さんと連れ立って100円の消しゴムコーナーのキン消しを漁っているのもよく見かけるんです。 去年の事ですが子供へのクリスマスプレゼントに消しゴムを買うお母さんがいたんですよ。あれは熱い光景でしたね(笑)
邪道:
いやー 目頭が熱くなる思いですね(笑)

※2008年12月にリリースされた「キン肉マン コンプリートDVD-BOX」
完全予約限定生産で発売され、特典として復刻版キン消し全418種類、ミニブック全種などが付属した。
邪道:
一番動くのはキン消しになりますか?
宮越:
やはり知名度が高い分、キン消しは強いですね。
邪道:
キン消し知名度はずば抜けている感があります。
宮越:
確かに知名度だけとればキン消しが一番だと思いますけど、ミクロ館の客層は五分五分ですよ。
邪道:
そうなんですか!キン消しとガン消しには超えられない壁があると思っていました。
宮越:
僕は王道ってよく言いますけど、その中でもキン消し、ガン消しっていうのは双璧であり、二大巨頭ですよね。
邪道:
それぞれのコレクターの違いはありますか?
宮越:
あくまでも僕のイメージなんですけど、キン消しコレクターの方は結構元気な感じです。 逆にガン消しコレクターの方はもの静かな感じですね。 例えて言うならキン消しは体育会系でガン消しは文化系みたいな(笑)
邪道:
元々のタイトルを反映してるんでしょうか(笑)
宮越:
あくまでも僕のイメージですから(笑)
邪道:
最近ガン消しに力を入れている気がします。以前はそれほどフューチャーされていませんでしたよね。
宮越:
やはり自分の得意なところからやっていくので、ガン消しは中々難しいですよ。 僕も発売当時にガンガンやっていたって程では無いので。
邪道:
ガン消しの難しいところというのは?
宮越:
一番大きいのはパーツチェックです。未切りなら問題無いんですけど、切り済みはチェックにもの凄く時間がかかります。 最初の頃は本当に苦労しました。「武器が違いますね」ってよく指摘されたり。 そうなってくるとだんだん未切りしか出せなくなるんですよ(苦笑) そういった経緯があって、一時期は縮小していったんですが、最近では修行の成果も出てきて、幅に広がりが出てきたかな?と思っています。
邪道:
修行ですか(笑) だいぶ慣れてきたんじゃないですか?
宮越:
どんなに慣れてもパーツチェックにかかる時間は膨大ですけどね(笑)


120:機竜士レッドランダー
121:竜機神レッドガンドラゴン
店頭にあった神竜士レッドランダー。
この膨大なパーツ数のチェックには時間を要したに違いない。
個別撮影したのは撮影者の完全な趣味。




 

Special Thanks 撮影協力:SO氏

2009.05.09